今回の本は、歴史物のミステリーです。 キリスト教最大の謎であるキリストの死の謎に挑んで います。トリックの立証に使われた文書の真実性 が、どの程度なのかわたしは知りませんが、 そういう可能性もあるのかと、大変おもしろく 読めました。
キリストの死と復活の場面は、キリスト教への入口になっています。 普通のひとは、そんなばかなと思いながら、 あらをみつけようとして聖書(特に福音書)を読むことになります。 そして、福音書が非常によくできたドキュメンタリー文書 となっているので、ひょっとしたら彼らが信ずるなにかが 起こったのではないかと思うようになるわけです。 ですから、この場面はキリスト教の教義や祭祀の中で重要な 位置を占めています。
しかし、わたしは以前御紹介した最古の福音書というものを読んでみると それらの奇跡譚はあくまでも布教のとっかかりに過ぎないと思うように なりました。実際には、福音書のもととなったQ資料 を読んでそのように実行することこそが、新約聖書で求められている ことであると思われます。そして、そのQ資料の理念こそが 理想の人間性を獲得することを要求したものであるのです。 キリスト教だけがお節介に見える活動を行いますが、 そのような活動こそがQ資料の効果であり、最終的に明るさを感じられる 近代社会を作りあげたのです。そのような活動がないとどのような ことになるかは、中国やイスラムの歴史を見るとよくわかります。 社会体制としては千年たってもほとんど進化はなく、おそらく全ての人々の 幸福度はそれほどかわらなかったことでしょう。 現在BSで中国と韓国の歴史ドラマを2つづつみることができます。 どちらも千年以上離れた時代を扱っていますが、はたしてどちらが古い時代か、 基本知識がない人がみたら見分けがつかないことでしょう。 どちらも2千年以上前の漢の時代のドラマの風俗の方が現代人に 近かったりしています。 それは、あくまでも体制の維持が目的の社会となってしまったために 社会システムの進歩が止まってしまったからです。 西欧社会だけが他者が不幸であると居心地が悪い社会となり、 ルネッサンスを起こして現代社会までたどり着けたわけです。 しかも、みんなが活気を持って生活ができる社会なると、 結果的に国力も増してよりゆたかな社会を構築することができました。 情報技術でも昔は中心にひとつの大型コンピュータをおいて システムがつくられました。いまでは パソコンを 大量に並べることによって高度な処理が行われています。 googleのように世界中の情報の中から秒単位で欲しい 情報を得ることができるようになるのです。 つまり、優秀な一人が統制するよりも、個々の能力が小さくても 全員が能力を発揮した方がより大量の物事を処理できるようになり 文明や文化や技術も進むわけです。 インディージョーンズなどで紹介されていますように、欧米ではよく聖遺物の 探検語がありますが、真の宝は聖書の中にあったということなのでしょう。
そして、前にも書きましたが、キリスト教徒の方もそうでないかたも、 現代社会の規範文書であるQ文書を読んでそれを、それぞれの宗教や 社会や生活に取り入れていって欲しいものです。そうなることにより 地球全体の社会が良い方向へと向かうのではないでしょうか。 地球温暖化問題でも、欧州は温暖化による悲劇を減らそうと 使命感をもって臨んでいるという感じですが、 アジアの国々は損得勘定で動いているという感じです。 もう少し他者の幸福を気に掛ける社会にしていく必要が あるでしょう。そして、常により良い社会を実現しようとする 努力が払われることにより、先月述べたような人類の退化も 防げることでしょう。
ですから、奇跡譚がどうであったかよりも、Q資料の中身の方が 重要なので、キリスト教徒の方もこの本を気楽に読んでみたら いかがでしょうか?ちなみにこのような解釈は仏教では よくみられます。歴史上の偉い御坊さんが、お経も仏像も方便でしかない といわれて周囲の人を驚かしたという話がよくあります。 (最近では植木さんのおとうさんがそういって等さんを驚かした という逸話がTVで紹介されていました。) つまりそれらは、仏様の教えに近付くための とっかかりだということなのでしょう。 そういう意味で、仏教もキリスト教も同じような構造を持っているのでは ないでしょうか。
欧米でも最近はこのようなキリスト教の成立ちの歴史について タブー無しに紹介がなされているようです。CS放送のナショナルジオグラフィック やディスカバリーチャンネルでわかりやすい番組がいくつか放映されていました。 この本を読んで初期キリスト教に興味を持たれたら そういう番組をチェックされたらどうでしょうか?
では、また来月に。
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