メールマガジン　今月の本　0311号多摩の台病院ものがたり

今月の本 0311号多摩の台病院ものがたり

　　多摩の台病院ものがたり米山公啓 (著)

今回は医療もののコメディー小説です。

最近、医療過誤のニュースが流れたり、ドラマでも白い巨塔が放映されるなど医療問題についての興味が高まっています。

ただ、どうせ医療問題について考えるのならもっと楽しく考えてみたいものです。そういう時にこの本は最適です。

小さな病院が舞台なのですが、そこに独特な個性の医者がいろいろでてきてにぎやかに話しが進みます。一見冗談話ばかりのようですが、理想の医療というものを著者がどう考えているのか、というようなまじめな問題も散見できますので、笑いながら医療問題について考えることができます。

こういう本を読むことの利点の一つは、医療現場を知らない我々でも当事者の気分を味わえることです。著者は現役の医者だそうで、登場人物も本来いる医者の個性を誇張したものだそうで、現実の医療現場を実感できます。だから医療関係者の苦労もわかります。つぎからつぎへと来る多様な患者に正確に対応しなければなりません。私なら、医療ミスをしないことに精いっぱいでとても患者の気持ちを考えた医療行為などできないことでしょう。しかし医者にとっては何百回も繰り返されるとるにたらない医療行為でも、同時に患者の立場では、たった一回しか経験しないことですし、治療の是非によっては自分の生死にかかわってくるのですから、ぞんざいに扱われては困るのです。そういう意味で、医療技術者と別に患者立場にたったサービスを行う担当者を病院は配置した方がよいのではないかと、私は思います。これまでは、看護士にその役割がおわされているようですが、同時に医療助手としてほとんどの実務を医者からまかされているように思われ、看護士としても十分なサービス業務を行う余裕はないように思います。ホテルのサービスマンなどのような人が患者に対応すれば、患者もホテルにいるような感じでおちつきますし、医療担当者は医療に専念できて、医療過誤も減るのではないでしょうか。

では、また来月に。

では、また来月に。

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