今月の本 2607号 信長欧州遠征記 柘植久慶 著
[https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003028949]
(今回はメルマガ発行後の誤字脱字の訂正や状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)




 







今月は歴史関連の小説です。 ちょうど大河ドラマで本能寺の変をやっていました。 割合通説通りのものだったのですが、 もう少し毛色の変わったものがたりを 知りたいという方もいるだろうと思って選びました。 なんと信長は本能寺を無事脱出して欧州で大活躍すると いう小説です。 割合プロットはしっかりしてますし、どう着地させるのか と思ったら世界史的大事件に絡めてうまく落ち着かせていて自然です。 楽しんでみてください。安土桃山時代に詳しい人はいっぱいいますが そのころの世界史的知識も得られます。あの時代の全体像を より感じられるのではないでしょうか。 この小説が書かれてからずっとあとに、実はイギリスが宿敵スペインを日本から 追い出そうと活動していたことがNHKの番組で報道されました。 (スペイン系のカトリックであるキリシタンを頼りに大坂の陣に臨んでいた豊臣家を イギリスが送り込んだ大砲がとどめをさしているのです。 西欧の争いがはっきりと日本史の行方を左右しているのです。 もっとも最終的にイギリスも追い出されてしまうのですが、 それでも日本からスペインの影響力を削いだということで英国的には及第点だったのではないでしょうか。) この小説でもスペインとイギリスが激しく対立しています。 そういう世界情勢を認識する初歩としておすすめです。

因みにこの本を探し出した切っ掛けは、 以前述べたように豊臣時代の知識を再点検していて、 本能寺から信長逃げていても矛盾はないという ことにたどりついたからです。、 そのためそういう小説はあるか調べてこの本にたどり着きました。

なにしろ、本能寺の変の明智側に参加した人物が、本能寺についたけど人はいなくて そのうち火がでて燃えたというようなことを言っているのです。 信長が光秀がどこの道をすすんでいるか 調べさせていたら京都に入る前に脱出することは可能だと思います。 (もちろんこの場合は信長が日本から姿を消すためにわざと光秀にひどくあたったという小説的工夫が必要になります。 この本ではもう少し凝ったしくみを使っています。)

しかも信長は茶会をやるために本能寺に来て高価な茶器を持ってきて(もしくは持ってこさせて)いるのですが、 居合わせた商人が前田玄以の指示でもちだしたといっているのです。 ドラマのような激しい戦闘シーンの中、商人が壊れやすい茶器を持ちだせるものでしょうか? それを駄賃として信長が商人にあげたのではないでしょうか、 それを費用として信長は商人といっしょに堺に逃れて そこで船に乗って九州から南蛮船に乗って欧州にいくことは十分可能なのです。 この本では伏見で船に乗って堺に行ったことになっています。 最近の学説で光秀は伏見にいて逃げ出されないようにしていたということになっています。 これを信じると京都から船にのって堺の方に行くときは伏見付近は通るから若干信長脱出説は難しくなるのですが、 家康に本能寺の変のことを知らせた茶屋四郎次郎(これが正解です。 後で治すつもりがチェックする前にそのままメルマガに流してしまいました。なぜ奈良屋が思いかんだのでしょう。)はおそらく伏見近辺を通って ちゃんと伏見の南あたりで家康の家臣に会って一緒に家康のところまで向かっています。 また茶器を持ちだしたその商人が本能寺の変のあとちゃんと堺に逃れることができて境にいたと言っているのです。 光秀がいたとしても水も漏らさぬ警戒をしていたのではなくて信長軍だけ探していたのではないでしょうか。 さらに言うとその茶器というのが城が何個も買える超高級品です。 そんなものを戦国時代に運ぶのですから商人自体も武装しています。 数百人規模の警備がいても不思議ではありません。数十人程度だと光秀のように農民の竹やり部隊にも負けてしまいます。 そして、本能寺と信忠が亡くなったとされる二条城で遺体がみつからなかった織田の家臣は数百人いるのです。 その商人の警備として船で商人と一緒に堺まで下ることは可能です。 そしてそのまま数百人を引き連れて信長が西欧に向かうことも可能ではあるのです。 (もちろん宣教師に前もって頼んでおいたという仮説が必要です。 そうしないと公文書で信長一行がどの船に乗ったか本国に報告されてしまいます。 小説的には、本国に教えないもしくはこの本のように機密事項とすることをあらかじめ信長と契約していたという工夫が 必要ということになります。)

あと上述の前田玄以が問題なのです。通説では信忠に付き従っていて、信忠の命令で抜け出して信忠の長男を守ったと いうことになっているのです。つまり本能寺の変のときに信忠も本能寺にいたということになります。 私の空想では信長の欧州行を察知して止めようと説得にきたのではないかと考えています。 そして、逆に説得されて、この小説のように信長についていったとしても不思議はないのです。 信忠の遺体も確認されていないのです。 (そうなると二条城で戦っていたのは身代わりの影武者ということになります。)

あと、最近のTV情報としては信長は近くのお寺の住職が遺体を運んで埋葬したことになっています。 しかし、なぜそしたら光秀や秀吉や織田家に秘密にしたのでしょうか? しかもお寺の名前は阿弥陀寺だそうです。つまり南無阿弥陀仏を唱える寺ということです。 一応浄土宗ということで浄土真宗ではないようですが、あれだけ一向宗と争った信長が 親しくできたのでしょうか?上人とは子供時代からの付き合いとされているのですが、 寺の記録にしか残っていないそうです。首実検もできないほど焼けていたとすると だれかわからない無縁仏を弔っただけと考えるのが自然ではないでしょうか。 (こっちの謎を深堀するとまた違う小説ねたがみえてきます。ちょうど同じ時期に 加賀の一向一揆を指揮していたという本多正信が家康のもとに現れます。 あまり話題になっていませんが加賀の一向一揆にたいする織田家のやり方はすさまじく 悲惨なものでした。そして、信長の命令で息子を殺すはめになった家康と組み合わせると 正信が主君のあだと仲間のあだを討つ作戦を実行したという話もできそうです。 その場合その寺は一向宗の身を隠すために浄土宗を名乗っていて、信長暗殺を担当したとかでしょうか。 その場合どうやって光秀を仲間に引き入れたのかがわかりませんが。策士である正信ならできたのかもというところでしょうか? (ちなみに最近の情報で一番光秀の動機を補強するものは、光秀は武田に通じていたことを知られたくなくて謀反をおこしたというものだと思っています。 なぜならそうすると武田遠征のときに、これまでの私の努力が実ってうれしいと言った光秀を信長が蹴り落としたという逸話と整合性がでてくるからです。 信長にとっては通じていたくせに何を言っているんだという思いがあったのではないでしょうか?そして家康が武田の防諜にかかわっていた穴山梅雪といっしょに 信長に会いにくるのです。光秀は気が気でなかったことでしょう。最終的に穴山梅雪は伊賀越えの時に死亡しますが、 光秀としては反乱の成就より穴山梅雪の口を封じることこそが大事だったのではないでしょうか。 それがばれたら更に織田中の家臣に恨まれて政権樹立どころでなくなります。))

こう考えると信長が数百人レベルの人を率いて欧州にいくことは可能ではあるのです。 そこでそういう小説があるか探してみたわけです。

みなさんもこういうことが可能か調べながら読んでみてください。

前にも述べましたが、ほとんどの人が記録を残さないので 日本史には空想の翼を広げる余地がめちゃくちゃあります。 是非みなさんも翼を広げて楽しんでみてください。 そして面白い小説やドラマや映画をつくってください。

では、また来月に。

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