今月の本 1805号  宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF) ロバート・A・ハインライン (著), 内田 昌之 (翻訳)  



(今回はメルマガ発行後の誤字脱字の訂正や状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)


今月はSFです。 といっても、古いSFファンには当たり前の名著でなんでわざわざと 思うことでしょう。 実は最近の本の表紙を見てあれ、こんな話だったかな と思って思わず手にとったのです。

表紙には、モビルスーツのような絵が書いてあり 読むとまさに機動戦士の戦いが緻密に描写されています。 あれあれこんな話だったかなと思って あとがきを読んで納得しました。

実は私はガンダムが発表される前に読んでいたのです。 ですから、当時の私の想像の範囲で読んでいたので、 そんな人形ロボットの中にいるとも思わず、 2001年の宇宙船の修理用小型船のような丸いものに バネがついたようなものの中にいるような感じで 読んでいました。 ですからいまいち機械の構造がわかったようなわからないような 感じでその未知の感じも楽しんでいました。

ですから私の頃には難解なSFだったのですが、 現代の方はまさにガンダムやボトムスを想定して読むとすんなり理解できると思います。 (もっとも、若い方が知っているかどうかが疑問ですが。 何しろSFという言葉を聞きませんし昔と違って科学に憧れが無いように思えるので SFというものの若者が持っているイメージがわきません。 (鉄腕アトムの未来都市を見てどう思うのかも不明です。 昔はまさにあれが未来という感じでしたが、 映画ではブレードランナーが未来でもきれいではないというイメージを確立して 今はそれが主になっています。そして実社会でもそれを実現しようとした お台場が経済的にも見た目もあまりうまくいっていないことから さほど羨望感はなくなっているのかもしれません。 ただ、光触媒や自動修復素材が実社会で研究開発されているので やはりオーリーの宇宙船のようなピカピカのイメージがまた未来デザインの イメージになるのではないかと個人的には思っています。) でも昔は人が入る人形ロボットは日本独特の文化だったのですが、 最近ではマトリックスなどハリウッド映画でもだいぶ散見されるように なってきました。若い方はそっちのほうがしっくりするかもしれません。) よくロボットアニメでピョンピョン飛ぶ描写がでてきて、 着地点が変更できないから危険じゃないかと不思議だったのですが、 改めてこの本を読んでああこの本のオマージュかと納得しました。

そして、古いSFファンの方にもこの本がおすすめなのは まさにいかにしてこの小説からガンダムが生まれたのかというその歴史について、 当事者の方のインタビューが巻末に載っていることです。

こういう新しい日本文化を作られた方にも ちゃんと文化勲章くらい与える国になるべきではないでしょうか。 前にも述べましたが日本人は自国のものを褒めるのが苦手です。 浮世絵も上高地も外人が褒めてから人気となりました。 そろそろ自分で良いものに価値を認めるべきでしょう。 (今回述べたような経緯を研究している研究室はあるのでしょうか。 シェークスピアや文楽はあるのに現代日本文化のひとつである ロボットアニメの研究がないとしたら残念です。 一応本はありますが、執筆者は教授ではないようです。 (Wikipediaによると中心人物の一人の高橋良輔氏はちゃんと教授になられているようです。) 最近マンガ学科のようなものがあちこちにできているので ぜひそういう中にあってほしいものです。 )

では、また来月に。

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