今月の本 1506号 湖水めぐり 野上豐一郎
(http://www.aozora.gr.jp/cards/000963/files/4664_12236.html)


(今回はメルマガ発行後の誤字脱字の訂正や状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)


今月はさすがに穏やかなものを選びました。 大正時代の富士五湖の紀行文です。 わかりやすいので当時の様子を実感でき、時間旅行ができます。

少々問題なのは青空文庫版を今回選びましたが るびがないことです。 私はあのころの漢字は夏目漱石で覚えたので 試しに青空文庫の夏目漱石の本をみてみると ちゃんとるびがあるようです。 ベストセラー作家とそうでない場合の差なのでしょうか。 たしかにるびは(あの当時ならなおさら) 手間がかかるので 差がでてしまうのは しょうがないですが、 今となってはあのころの 漢字は特殊なので普通の人は るびがないと非常によみにくいと思います。 TVでみていると漢字検定一級などに分類されている 漢字はほとんど明治時代から戦前にかけての そのころの文字です。 日常使うにはほとんど必要ないですし 書いても他の人が読めないので あのようにTVで教えるのはどうかとは思っていました。 もちろん、この本のように この時代の旧字体の 本を読むには必要な知識なのですが、 それでも新字体に書き換えたものを 読むか、るびがふってあるものを 読めばよいだけです。

ただ、今回は青空文庫で無料で読もうとしたら そのようなことはできないみたいなので、 もしこの本がよみずらいひとは 青空文庫で旧字体でるびつきの文章をいくつか よんでなれてからよんでみてください。

このようにるびは大変すごい発明なのですが、 最近ではコンピュータの発展で 手間がすくなくなっていいるにも かかわらず逆に使われることが 少なくなっているように 感じています。

非常にもったいない話です。 るびさえふっていたら どんなに難しい文字も読むことができます。 しかもルビを読んでいるうちに 難しい漢字自体も頭に入ります。

新聞などもすべての漢字に ルビをふるべきだと 思うのですが、 まったくといってないので あれでは小学生は読めないことでしょう。 また外国の方も読めないと思います。 わざわざ読者を減らしているように思います。

ちなみにこの本を選んでから気がついたのですが、 この本は現在日本の状況にいくつも接点を持っています。

本人や奥さんの大戦勃発時の紀行文(大戰脱出記、欧米の旅)や 日記(『野上弥生子全集』第II期) と以前ご紹介した水木さんのコミック昭和史 は第二次大戦のわかりやすい実態をしるのに一級の資料です。 安保法制を議論する前にきちんと読んでおくべき本です。 特に開戦時に欧米を訪問中で現地の実態を 知っていたのになぜそれをもっと 当時の日本人に知らせなかったのかという 夫人の後悔の念はジャーナリスト全員が読んでおくべきところです。

一方、箱根山が噴火しました。 今後どうなるかわかりませんが、 箱根山は大噴火することがある山だそうで もし大噴火したら富士五湖あたりの 景観も今とかわってくることでしょう。 一方箱根山が噴火しないと今度は 富士山噴火の可能性が高まります。 今度噴火したら富士山の形が変わると いわれています。実際最近外国では 富士山と似た形の山が噴火して山体崩壊したそうです。 つまり、この紀行を楽しめるのは現在だけの可能性が強いのです。 富士五湖にいったことがある方はぜひ その面影を思い出してこの本を読んで風情を楽しんでほしいですが、 まだいったことがなく この紀行をよんで興味がでたかたは すぐにでも訪れてみてください。 近い将来にはこの紀行を実感としてとらえられる 人はいなくなるのですから。 (ちなみに訪れるときには念のため 携帯は常にONでGPSもONの状態として 近くの測候所や気象庁などの緊急警報を すぐ知れてかつ、自分の場所を発信できるように しておくべきでしょう。 大噴火時に(新幹線並のスピードの)火砕流が横浜付近まで届いた そうですから山梨静岡神奈川三県にいらっしゃる方も 念のためそうされるべきだと思います。)

さらにTPA法案が米国で通過しましたが それによってTPP実現の可能性が多いにでてきました。 その結果今回ご紹介した青空文庫の行く末が危惧されています。 実際どんな条文なのかは国会議員にさえ秘密だそうですが 著作権法が改正されてさらに著作者の死後の 権利が伸びる可能性が指摘されています。 (私は著作者自身の権利はもっと強化しても かまわないと思いますが、死後の権利については はなはだ疑問です。せいぜい配偶者がいきているまで とするべきではないでしょうか。奥さんが旦那さんの死後 70年も生きていることはまずないはずです。) 現状の青空文庫を楽しめるのも現在だけという可能性があるのです。 (http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000468)

では、また来月に。

関連リンク:http://yokutoku.y.ribbon.to/mm171.html








             
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湖水めぐり
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欧米の旅
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(http://www.amazon.co.jp/%E6%AC%A7%E7%B1%B3%E3%81%AE%E6%97%85-%E4%B8%AD-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%87%8E%E4%B8%8A-%E5%BC%A5%E7%94%9F%E5%AD%90/dp/4003116526/ref=sr_1_16/377-3920362-2161700?s=books&ie=UTF8&qid=1435654981&sr=1-16)
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『野上弥生子全集』第II期 日記 目次
(http://kenkyuyoroku.blog84.fc2.com/blog-entry-802.html)
青空文庫 そらもよう
(http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000468)

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