今月の本 1504号 長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の 検証に関する報告(案)
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/008/
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/008/pdf/008_06.pdf)
(今回はメルマガ発行後の誤字脱字の訂正や状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)


今月もこういう文書を日本人が読まねばならぬものとして選ばねばなりませんで した。 これまでご紹介したものと比較して比較的報道されているのでご存じの方も多い と思います。 ただ、もっぱら結果だけを報道するものだったので なぜ原発費用が一番安くなるのかが不思議でした。 そして読んでみたところ相当問題があるものでしたので ご紹介することにしました。

報道によるとこの文章をもとに将来の日本の発電構成を決めるそうです。 しかし結論はきわめておかしなものです。 報道によると原発が一番経費がかかっていないので 太陽光よりはるかに多くを導入する計画とするようです。 ところが内容をみてみると相当問題があります。

本当にこの試算でいいのか全国民が検討しないと 日本(さらには世界)は将来大変なことになることでしょう。

まず原発の発電費用ですが、いろいろな経費が引かれています。 なぜか新設時のものしか経費として考えていないようです。 新設時に考慮できるものはなぜか経費として認められないのです。 巨大な防潮堤もつくるとき考慮すればよいとして のぞかれています。 つまりこの計算は現在の原子炉ではなく新たに原子炉を 50基つくったらどの程度のコストになるかという計算となっているのです。 そういう計算をするなら当然いまある原子炉はすべて廃炉にしてほしいものです。 しかも火山なども立地を考えればとしていますが 川内原発で問題となった 巨大噴火の発生確率は100年で1%程度と高確率なのに日本のどこにも 逃げ場がありません。 (とりあえず現状の原子炉を動かしたときのコストを産出すべきでしょう、 原子力が安いのではなく精一杯動かさないと安くならないという 構図をもっときちんと明示すべきでしょう。)

一基あたり一千億円かけて安全対策を行っているのですが それによって得られる安全性は福島以前の高々倍でしかない ということがこの文書からわかります。50基動かすとと 80年に一回どこかの県や日本さらには北半球が壊滅するかもしれない ものをもう一度動かそうというのは政治的に倫理的にみても間違っています。 (わざわざ4000年炉は事故確率ではないと断ってあるのですが そうなると算出根拠そのものがなくなります。共済方式では同じでなければ 事故時の費用を賄えません。リスクプレミアムをちゃんと世界の保険会社に 計算してもらってその費用をちゃんと経費に上乗せすべきでしょう。) ある新聞では差し止め裁判でリスクを0にしなければならないのか と書いてありましたが、リスクを0ではなく たかだかリスクを半分にしただけで動かしてよいのか ということが日本国民や世界の人々が考えるべきことなのです。 (なにしろ日本では80年に一度でも世界ではその20倍以上動かそうと しています。数年に一度事故がおきても不思議はないことになります。 しかも日本政府の主張では一番日本の基準が厳しいそうですから もっとリスクがあるものも動くことでしょう。さらに福島の事故もチェルノブイ リの事故も 人間が事故をコントロールしたようにはとても思えません。 あれだけ4号炉で大騒ぎしたのも下手をしたら北半球が壊滅するだけの 放射能物質がプールにあったからです。 事故当時の最大被害予測でも半径200kmの範囲が避難地域となるものでした。 福島の事故の程度はまだ小さい方なのです。 事故をコントロールして小さい被害にしたというよりもたまたまその程度で済ん だという状況のように みえますので、 今後事故がおきたらさらに被害が大きい可能性も十分にあるのです。)

逆に太陽光発電の場合は いろいろな経費が積み重ねられています。

廃棄費用がなぜかこれ以上減らないだろうとして 一定とされてしまっています。 しかし同時に稼働年数も30年と制限されてしまっています。 しかし実際には30年程度であればまだ発電できますから 中古品としての流通価値があります。 廃棄費用が黒字になっても不思議はないのです。

値段も低価格の国際価格に収れんするものも一応載せているのですが、 経産省は研究開発を主導する立場です。 国産のものを国際価格の半値を目指すというのが 本来あるべき立場でしょう。 純国産のエネルギーである太陽光をなるべく 減らそうとしているのが不思議です。 (買い取り価格で電気料金の増加を防ぎたという論調が新聞で見受けられますが、 上記のような太陽電池に不利な計算をして結果として出てきた 2030年モデルプラント試算結果概要からみても 太陽光と火力はほぼ同等の値です。このころには買い取り価格で電気料金が上が ることは ほとんどありえません。 安い蓄電池の開発も急いで2030年には100%再生可能エネルギーとして エネルギー自給率100%の国を目指すのが 通産省の後継である経産省の役目ではないでしょうか。)

では、また来月に。

関連リンク:http://yokutoku.y.ribbon.to/mm169.html




             
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