今月の本   1211号  プリオン評価書 食品安全委員会(著)
(今回はメルマガ発行後の状況の変化や説明を加えたい点について随時加筆しています。)


今回は。緊急事態なので日本人(できれば世界中の人)が読むべきものを 挙げさせていただきます。

政府の審議会(食品安全委員会)の報告書です。
(http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20121219037)
(http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kya20121219037&fileId=201)
前半ではBSE問題がわかりやすくまとめられいて 基礎知識を得るのにいい教科書になっています。 さらに貴重なのはパブリックコメントが後ろに ついていてどういう問題点があるかがよくわかります。

ただ、問題は、まとめの部分の論理が強引で、 どうみてもパブリックっコメントの批判の方が納得できることです。

ほとんど報道されていないのでなにが問題か、そして何が緊急事態なのかが 多くの方にはわからないと思います。 パブリックコメントの部分を読んでいただければわかると思いますが、 念のためいくつかここで説明しておきます。

ただまず私の立場を説明しておきたいと思います。 私は別に米国の牛肉を輸入すべきではないと思っているわけでは ありません。むしろBSE問題がおきる前は米国産の牛肉を 喜んで食べていました。それは米国の方が生産管理技術が進んでいた ので安全だろうと思っていたからです。 ところが、BSE問題がおきて日本側が自分でBSE検査をして 輸入したいと申し込んだら米国側が拒否したところから おやっと思うようになりました。 そして注意深くみていると なるべく検査しないようにしようと行動しているとしかみえないので、 そのような実態を隠そうとする国のものの 信用ができなくなって、食べなくなったのです。 ですから、別に米国のものを食べたくない(輸入したくない)わけではなく、 きちんと安全を確立して信頼性をとりもどして早く 安心して輸入して食べたいという立場です。

ところが、日本政府が米国や世界にきちんと文句をいって 体制をよりよくしようとせずに、要求を受けるだけなので とても賛成できないのです。

さかんにTPPが議論になっていますが 私自身は本来は賛成なのですが、 以下のように科学的にあきらかにおかしいことも 国際機関がみとめているからと 受け入れてしまうようでは とても賛成できないのです。 TPPのような多国間の規格をきめるときに 科学的に間違っていることを 訂正させる能力すらないのであれば 組織にとっても日本にとって問題です。 そんな状態ではTPPにはいることは 百害あって一利なしです。

そして、今回の報告書でもおかしなところ がいろいろあってとても輸入条件を緩和できるような状況ではないのに 無理やり認めようと審議会や官僚機構が動いているようにみえます。 (報道では外国に輸入条件の緩和を通知してしまっているようです。 とんでもないことです。むしろ上に述べたように 諸外国に飼育体制を厳しくするように説得すべきなのです。)

たとえば、米国では 百万頭に一頭のBSE感染牛をみつけることができる(この基準事態も全体の頭数からすると少なすぎると思います。) と説明されているのですが病気と年取った牛しか調べていません。 日本でみつかった感染牛の半分以上は症状がでていないのです。 また多くの肉牛は年をとる前に出荷されます。 そんな検査方法では相当数の見逃しがあることでしょう。 それを国際機関が認定しているからとして 十分調べているとして認めてしまっています。

また、BSEの問題の核は 病原体(プリオンというたんぱく質と想定されています。)が熱や紫外線に異常に壊れにくくて、しかも哺乳類の脳に入ると増えるので、 自然界の中で増えやすいということです。 一度野性動物の間で広まったら 食物連鎖の中でどんどん増えてしまうことでしょう。 (実際あれだけ警戒していた鳥インフルエンザも 世界中に広まってしまいました。 相当な対策をしないかぎりBSEの病原体の増加を 止めることはできないことでしょう。 恐ろしいことに日本における 焼却処理しなければならない部位(SRM)の範囲を せばめる決定も同時になされました。 国民の安全を守るどころか なぜか感染を早める努力をしているようです。) そうなると、土壌などにも含まれてやがては 植物にも含まれるようになってしまいます。 そうなると人類どころか哺乳類全体の危機と なります。植物も食べれなくなるので もはや食べるものがなくなってしまうのです。 実際、肉骨粉の利用をやめたはず (ただ米国では非はんすう動物にはまだみとめられています。 ですから、鳥や豚経由の病原体増加の経路がおそらく あると思います。豚は出荷が早いので症状はでていないですが 少しずつ脳に達して数が増えていると思います。 これも米国にいってやめさせるべきです。 (驚いたことに日本でも鳥や豚の肉骨粉を豚やとりにつかうことを 認めているようです。これでは感染経路がいっきに多様な方向へつながってしまいます。 EUのように全面禁止すべきです。)) の現在でも、 大流行したものと別の分子構造をもつものが 散発的に発生しています。 肉骨粉以外の経路がないと断言することはできないのです。 きちんと全頭検査をして、焼却して病原体を減らすとともに 周囲の野生動物や土壌や植物を調べて感染経路の特定と除去するように しないと哺乳類が滅びてしまいます。」 ところが、そういう別の分子構造のものは 別のものとしてリスク評価から除いてしまっています。 (感染力などは通常型と同じかより強いものなのです。) 安全だという結論を急ぐためとしか思われません。

こういうことを他国に要求することは 日本の安全を高めるだけでなく その国にとっても助かることです。 まして米国は同盟国なのです。 このままでは米国人の健康や知能が損なわれて 国力までおかしくなることでしょう。 日本が同盟国として全力で直させるべきなのです。 本当の同盟国とはそういうものです。 イラン戦争のときに全力で止めていたら 米国はいまでもNo.1の国力を維持して 世界も安定していたことでしょう。 (そのころの政権内の回顧録などをみると ブッシュさんに各国やいろいろな立場の人が 気が変わらないようにダメ押ししているようです。 おそらく米国に害意のある国や組織が フセインを倒せなかったという 米国人のもやもやを刺激するように なんらかのオペーレーションをかけて 米国を泥沼に引きずりこんだのでしょう。 (現在の日本もそういうオペレーションをかけられている ようにみえます。尖閣で大騒ぎしていますが、 あそこはそもそも日本が実効支配しているところです。 (私はすべきでないと思っていますが)竹島や北方領土で騒ぐのならまだ 右翼としての主義が一貫していますが、あそこで騒ぎをおこす ことは領土問題を顕在化させることになるのでむしろ利敵行為です。 憲法についても同様です。平和憲法を持っている国に攻め込む のと通常の軍隊を持っている国に攻め込むのは心理的にも 国際的にも抵抗があります。(湾岸戦争で世界がクエートを 支援したのはまさにそういうことを許したら世界が戦国時代となり 次は我が身になるからです。)その抵抗感をわざわざはずすことが 声高に述べられています。これもまさに利敵行為 です。罠にかけられているとしか思われません。 軍隊がないといいながら世界6位の防衛費を使っているのです。 これでまだたりないというのであればそれは予算執行の能力の欠如 を公言しているようなものです。(世界一の軍隊を持たないと 国を守れないというのは戦前の発想でそれがどれだけ無理かというのは 戦前の日本が証明しています。そんなことは論理的にも 無理なことは簡単にわかります。すべての国は限られた リソースの中で防衛につとめているのです。 現在のリソースで文句をいうのは担当者の能力を疑います。) 前にも述べましたがこういうことは戦前にもあって日本は日中戦争 に引きずりこまれました。(なにしろ和平をしようとする人は つぎつぎテロにあったり病死しています。 そのため無理な戦争に日本はつっこんでいきました。 証拠はないのですが、 蒋介石は日本に無理な戦争をさせて 国際社会を味方につけるという 戦略をとっていましたから (逆に今は日本がそういう国際社会を味方につける戦略をとるべきですし 中国はそうならないように国際社会に認められるような行動をとるように 心がけるべきなのですが、両国ともそうはなっていないようです。) なんらかのオペーレーションをかけたのではないでしょうか。) さらにそういうオペレーションは軍需業界もかけますから 当事国はなおさら注意をはらう必要があります。 第三国の企業を儲けさせるために 血を流すのは馬鹿げています。 憲法の前文にあるように 武力で解決するという手段を互いに放棄する ことこそが安定して国や地域を発展させる道です。 ですから、どの国の人ももやもやを解消させるような勇ましい言葉には 裏がないか疑ってみて慎重に聞くというのが世界が安定する唯一の みちです。世界の国が軍事費を減らして通商が活発になる方が 何十倍も世界は豊かになるのです。) そういうときに引き止めるのが本来の同盟国でしょう。 BSE問題のように同盟国が損なわれるのが あきらかなのにほっといて 同盟国の要求に唯々諾々としたがうのでは、 まるで同盟国のふりをしてちかずいている間者のようです。 万博以後人権や民主化の歩みを止めてしまった中国と 民主主義や人権意識がまだしっかりしている米国とどちらに ついていくかは日本にとって自明です。 日本と米国で中国を人権意識が通用する民主主義国家の方向へ導く ことだけが唯一日本のような小国がそして世界が安定して存在できる道です。 (現在のままでは皇帝のいない中国王朝のようなもので 少なくとも数百年に短ければ十数年ごとに一回 世界や周辺は動乱に巻き込まれてしまうことでしょう。 中国人のためにも民主化を日本が勧めるべきなのです。 これも真の友好国ならやるべきことです。 中国共産党も不思議です。不況でも5%以上の成長が続いている 現状で民主化して政権がとれないとでも思っているのでしょうか。 自民党のような長期政権になるのは確実です。 いまこそ民主化するべきときのはずなのですが。 景気が後退はじめたらそういうことができないので より独裁的な政権となって革命のような混乱がおきてしまうことでしょう。) その米国が崩されることは日本にとって大きな脅威のはずです。 米国が間違った行動をとっているときは もっと論理的にきちんと説得するという行動をとるべきです。)

米国や国際機関を説得するどころか それが平然と審議会や官庁で認められて行政事務が進んでいることに恐ろしさを感じます。 とても科学技術立国などと名乗れたものではありません。 福島原発の事故の要因の一つは審議会がまともに機能していないことです。 それがいまだに修正されていないということは また同じような大失敗を日本がやる日も近いということでしょう。 (わかりやすく論文がまとめられて、パブリックコメントがついているだけでも 進歩したとはいえるのかもしれませんが、結果が変わらないのでは同じです。) 実際原子力規制委員会の断層調査でも 私は調査する前に止めるべきと思いますが 調べて疑わしければ止めるといっていたのにまだ止めていません。 一人の方が地層にかかる力を考慮すべきと主調していて その力と関係ない方向の断層は影響がないとしたいようです。 しかしその方も最後にのべているように 何万年の間には一時的に力の向きがかわることは 何度もあるはずです。そしてそういう方向をしらべるためには 周辺の断層をしらべなくてはならないということで、 当該の一つのものが断層かどうかをしらべるのにさらに周囲の断層を調べる必要があるという ことで論理的にはいつまでたっても判断できないといっているようなものです。 さらに活断層ではなく地滑りという主張もされていますが、 地滑りの層は重力だけでずれてしまうというより滑りやすい層ということですから、 地殻の力が加わったら簡単に動くことでしょう。 地滑りの層ならOKとはなりません。 十分疑わしいというレベルはこえているのに止めないという時点で。 原子力規制庁が規制当局としての要件をみたしていません。 (ぜひ各党のマニュフェストで委員をだれにするか 具体的に示してほしいものです。 どこの党が広瀬氏や武田氏小出氏の名前を挙げるのか、 それだけでどれだけ真剣に原子炉の問題を考えていることがわかります。) 日本は即時全炉廃炉しかないのです。

このような官庁がまったく機能していない日本では原発から少しでも離れて(南半球しかないかもしれません。)住んで ベジタリアンになって少しでも生き延びるしかないようです。 (それでも野性動物に蔓延したら逃れられないことでしょう。)

緊急事態ということの意味がわかっていただけたでしょうか。 日本どころか地球上の大問題に直結する政策変更が なんら科学的チェックもおこなわれずになされようとしていて、 選挙の争点にすらなっていないのです。 (ほとんどの方が30年後に脱原発というのは 脱原発しないことと同じです。 上記のような状態で、今後数十年以内に 先月で書いたような状況までもっていけると 考えているのでしょうか。) そして、日本の審議会というものが311以前とまったくかわっていなくて 国民をまもるために機能していないということです。 選挙後どころか選挙中にもこのような重要なものごとが いくつもチェックなしにすすんでいくはずです。 定年で時間があまっているかたや、 就職できない方など 時間があまっている方は 政府の文書を手分けして読んで かってにおかしな決定がなされないように 見張るべきでしょう。 (本来は審議会がその役割をはたすはずだったのですが。 文科大臣が審議会の決定を覆した だけで大騒ぎとなりました。400人のチェックがおこなわれたと報道されていましたが、 あんな状況でただの委員が覆せるとは思われません。 そして、認可がでるまえに募集をかけていることこそ 審議会の審査が形骸化している証明です。 まったくの民間機関が国と別にあらゆるものごとについて 審議して国民に公表するしくみをつくるべきでしょう。) ここで述べたことは共通一次や公務員試験を突破している方々なら 余裕で理解し実行できるはずです。まずはこの文書をぜひ読んで自分の頭で判断してみてください。 (本来はそういう能力をはかる試験であるべきなのです。 それが仕事につくとまるで黒沢映画の生きるの世界に なってしまうのはどういうことなのでしょうか。)

では、また来月に。

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