今月の本   1107号  女子中学生の小さな大発見 (新潮文庫) 清 邦彦 (著)

今回ご紹介する本は、時節柄ということで女子中学生の 自由研究の本です。

この本の研究が素晴らしいのは きわめてお手軽な研究であるということです。 自由研究というと大上段に振りかぶった 研究をしようとしがちです。 ですが、本来は理科の研究対象は あらゆるものを含みますから 日常のなにを観察しても 理科の立派な研究になるわけです。 (たとえば、慣性と重力のところの研究は、 これを実験したかしなかったかで、 相対論の理解しやすさが大きく違ってくることでしょう。) ですからお手軽なものでもまったく構わないわけです。 そういうことに気がついた この本の先生が偉いと思います。 ぜひ全国の学校でこういう教育を 取り入れてほしいものです。 そうなれば、理科ぎらいの 人はいなくなることでしょう。 歴史嫌いの人のための歴史入門のホームページを昔つくりましたが、 [http://yellow.ribbon.to/~yokutoku/rekisi.html] この本は、理科ぎらいの人のための理科入門実践編と でも言うべき本です。

理科というか理系にたいして こういう態度をとる人が多ければ 福島原発の事故もおきなかったかもしれません。 なんでも、どこかの原発の啓蒙センターで 小学生が、ここが壊れたらどうするのかを 聞いて、そのときはこれがあるので大丈夫というのに対して さらにそれが壊れたらどうなるのかを聞いてて、 その問答の最後にそれが壊れることはありませんといって 説明員の方が怒り出したそうです・ もし、小学生のそういう素朴な疑問に真剣に向き合っていたら あんなことにはなっていなかったことでしょう。 日本は明治からひたすらキャッチアップをしてきましたから、 学問や技術もいかに早くとりいれるかが問題でした。 しかし、どの学問も技術もじつは自分で 考えるということが極めて重要なのです。 たとえば、福島原発で地下にポンプがあるのは、 米国のものをそのまま取り入れたためで、 実際には竜巻対策で地下においた設計を そのままつかってしまったということのようです。 当然津波対策はなにも考えられていなかった わけです。 しかし、小学生の夏休みの宿題で 原発の疑問点をあげなさいということをだしたら さきほどの小学生のように簡単に問題店を見出す子が 何人もいたことでしょう。 結局、専門家とよばれる方々は小学生ほどにも 自分の頭で考えなかったということなのです。 なにしろ技術導入は理解して記憶する能力だけで 事足りて、考える能力は必要ないのです。 最近、ストレステストが発表されましたが、 それに対する保安院やマスコミや経済界の反応も まさに考える能力の欠如が見受けられて 愕然としました。 安全を担保した上で再開をというのですが、 安全面をまったく吟味していません。 地方自治体も国が保証しなければ ということで自分で考えませんし、 そういわれた保安院はストレステストをやらなくても 法令上安全だということを、なぜ安全なのかを 法律面から説明するだけで具体的な物理的説明なしで平気で説明しています。 本来であれば、現在の保安院の審査内容や ストレステストの内容の個々の項目について 喧々諤々の議論をして、 それぞれこうなっているから安全なので、 再開しても大丈夫という説明をしなければなりませんが、 そのような議論がまったく見られません。 311以前とまったく変わってないように思われます。 よく、原発撤廃と推進の二極化した議論は意味がない という議論をマスコミで耳にするのですが、 本来推進派であっても撤廃派であっても 直ちに全器止めるというのが唯一の解であるのですが、 だれもそう主張していないのは恐ろしいことです。 おそらく真の原子力の推進派はいなくて みんな立場上やむをえず推進しているので 原子力の安全を責任をもって担保しようというひと がだれもいないのでしょう。 なにしろ、もう一個爆発したら もう日本は終わりでどう脱出するかという 日本沈没と同様な事態になってしまいます。 そして、政府の試算(これも色々検討の余地が あるように思われますが)でもたかが (他国の数倍すでに高いのにくらべても)2割高に するだけで、原発はすべて止めることができるのです。 (しかも電力がたりない地域の発送配電分離を 行い参入を自由化して自然エネルギーに特化することで CO2をださずにむしろ将来にわたって今より安い電力を 安定して供給することが可能なのです。 なにしろ自然エネルギーは燃料を必要としないので、 燃料の前払いという形の融資システムさえあれば、 一気に導入が可能です。不安定な出力は揚水発電と 火力で補う形にすれば、スマートグリッドを 導入する必要もなく可能ですし、 CO2はむしろ減ることでしょう。) (しかも現状は省エネ努力で全国的に国民が協力すれば 原発が必要ないことを明示しています。) 少々の企業が海外へ脱出するのと 日本の滅亡を天秤にかけることこそ ありえないことです。 安全を論議せず経済面だけから再開を訴えている人は (どうも本人達は気がついていないようですが) 日本を滅ぼそうとしているといってもいいのです。 (その点経営者としては スズキの会長さんだけがまともな行動をとられているとおもわれます。 原発や海岸線から分散するように生産拠点 をうつそうとされていることを発表されています。 さすがリーマン危機をメーカで唯一避けた 一流の経営者だけのことはあります。 普通にリスク管理をしようとすれば当然 そういうことになります。 原発はビジネスにとってリスク要因なのです。 むしろ経済界はそのリスクをなくすように 声を上げるべきです。) では、安全面をどう調べるべきでしょうか。 これは、しがらみがなく頭の自由な全国の小中高生の自由研究について 原発や保安院の審査やストレステストに関する疑問を この本のように挙げてもらうことでしょう。 そして、保安院はそれについて真摯に回答してそれを公開し、 さらにそれをみて多様な立場の大人たちが議論すると どの程度安全か穴(想定外)はないかがわかってくることでしょう。 これを冗談のようにとられる方もいられるでしょうが、 私がみても以下のように多数の問題がある状況で このまま再開や起動しつづけることは日本の存亡にかかわるほど極めて危険なのです。

たとえば、
・「全ての既設の発電用原子炉施設を対象とし、 核燃料サイクル関連施設については別途実施を検討する。」 とあるのですが、燃料棒があるだけで問題だということ が今回わかったわけですから、燃料棒があるところは すべて(サイクル関連施設も含めて)ストレステスト の対象とするべきでしょう。
・ストレステスト評価対象事象にEUでは入っているテロや飛行機や彗星の衝突が 対象になっていません。水素爆発であっけなくこわれてしまう 程度の屋上の燃料プールがそれらの事象に耐えられるとは とても思われません。評価対象として即刻、あのような 設計の四角い原子炉はすべて廃炉とすべきでしょう。
・ストレステスト評価対象事象安全機能の喪失に配管破談や つまることによる数々の事象が含まれていません。 これでは、使えるはずの配管が使えなくなるだけで 想定外ということになるでしょう。 (ちなみに海水が入っていこない ということもありえるでしょう。)
・また、隣接原子炉がメルトダウンした場合も考慮すべきなのに 含まれていません。今回も一個一個の原子炉が離れていたら あんな4個も爆発することもなかったでしょう。 若狭湾を初めいたるところの原子炉が複数隣接しているのですから、 かりに近くの原子炉が爆発して最大限放射性物質が降ってきても 自分のところは守れるということでないと どれか一ヶ所でもうまくいかないと全部爆発するということに なってしまいます。
・緊急装置で急停止を無人で可能なのかも項目として調べるべきです。 なんでも福島の一号炉では緊急停止時に冷えて圧力が下がり過ぎると 壊れるので人でで止めるというとんでもないマニュアルに なっているそうです。緊急時に人でが必要というのは 極めて危険ですから、人が関与しないで緊急停止できるかも 項目にいれて、できない原子炉はすべて廃炉とすべきでしょう。
・そして、シミュレーションだけでなく、 燃料を抜いた上で実際に実験すべきです。 特にヒトがいなくても緊急停止しても壊れないか、 消防ポンプで圧力の高い圧力容器内にちゃんと 水を入れられて冷やせるのか、 電力がすべてなくなったときに 水素がちゃんと外へ流れ出るのか建て屋や隣の原子炉 などへいかないのか、 排水口や給水口に津波によって 500気圧(津波の世界記録)の水圧がかかっても 原子炉内に水は流れこまないのか、 原子炉のすべての機器が水につかっても 通常の動作を行うか、 原子炉建て屋のまわりにプールをつくって そこに水を入れても中に水が入らないか、 福島の例からみて500km以内の市町村が合同で避難訓練や 耐放射線対策(除せん)訓練を行い爆発したときの影響を どこまで抑えることができるか、 などは再開前に絶対に公開実験して確認すべきでしょう。
・そもそもすべての基準が過去の最大値と同じですから、 ちょっと超えたとたん壊れます。津波ですら 平均の波高の数倍になることはあたりまえです。 (今回も40mまで達したそうです。) 普通過去の最大値の3、4倍に基準を定めるのが 普通です。今回もそうしていたら事故はおきなかった ことでしょう。ストレステストでそこまでの 余裕を確認すべきです。 (また、地震や津波は予測が難しいので、 世界記録の数倍を基準とすべきです。 断層はこれからも発見されるでしょうし、 津波も南極の氷床の落下や小惑星の落下によるもの は世界記録を塗り替える可能性は極めて高いのです。)

上記の点が抜けているだけでも、 今後歴史的に見て近い将来に起こる可能性のある 東海南海地震を含む地震や秋以降地球のそばをいくつかの 小惑星が通るので万が一それらの付随物が海に落ちた ときの津波や直撃の影響や さらに最近史上最大なものが観測された太陽フレアが地球をかすめた 場合における全国的な長時間停電などがおきたとき、 現状ではあといくつか爆発してもまったく不思議はないように 思われます。(しかもまだ福島の状況が 解析されていないのでさらに問題点はでてくることでしょう。) ですから、さらに穴がないか国民全体(特にしがらみがなく 頭の柔らかい若い人)が調べ、 それぞれの項目について徹底的な議論をする必要があるのです。 (それがまったくなされていないのが恐ろしいことです。 日本では専門家にまかせるという風潮があるのですが、 TVにでてくる人をみても本当の専門家の方はほとんど いません。格納容器の専門家や核融合の専門家の方が 原発事故全般(病気まで含めて)コメントしています。 現在研究の世界はたこつぼ化しています。ですから 完全な専門家はほとんどいません。ですから、専門家と 呼ばれる人達にまかせるのは危険です。 むしろ多様な立場と知識と能力をもった方が この本のような素朴な疑問から自由に議論に 参加することこそが必要なのです。しかも、上で述べたように 自分で考えない専門家にまかせたことが 今回の事故を招いているといっても 過言ではないのです。) そして、それを考えても、まずは 現状の原子炉を止めるのは急務なのです。 そして私は、どうせすべて止める必要があるのですし、 廃棄物が満杯なのですから そのまま、脱原発すべきだと考えます。 (それでも燃料プールがある施設については 厳しい検査が必要で、彗星の衝突などが 予測される場合は任意の場所に 移動させることができるようにすべきでしょう。 そのためには燃料棒が十分に冷えている 必要がありますから、早く止める必要が あるのです。) (米国から核燃料を買わねばならない契約にあるという 報道もみましたが、核分裂させる前の 核燃料は比較的安全(放射能も低い)ので 保管しておいて、いずれ核燃料が欠乏して 値上がりするのでそのときに 輸出すれば儲かりますから、 とりあえず買って保存しておけばよいのです。)

では、また来月に。

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